[まとめ]ミックスダウンやマスタリング初心者向けの基礎知識

   

MIX 知識

 

今回はミックスダウンについての解説でございます。

 

このページではミックス初心者向けにミックスとは何をするか?どうしてミックスをするか?の理由を中心に書いていきます。細かい数値の設定や機材の紹介は基本的に行いません。やってもどうせ無駄だからです。

 

例えばこの本

 

色んな楽器にかけるEQ例が載ってるんですが、微妙…(まぁ買ったんですが)

温かみのあるピアノ、量感を出すピアノ、ディストーションギターやらなんやら書いてあるんですが、あくまで目安を知る程度くらいしか役に立ちません。そもそも目安を知りたいならDAW付属のEQにプリセット(ギターならこの設定!ピアノならこの設定!が最初から入っています)で十分です。

 

本当にEQレシピを仕上げるのであれば…

それはどこのメーカーの楽器なのか?どんな音域を演奏しているのか?DAWユーザー必携ならどの音源を使っているのか?音作りに使用したエフェクターは何なのか?WAVES?GuitarRig?メインを演奏する楽器なのか?フィルで使用する楽器なのか?等々…挙げていくとキリがありません。

 

もうちょいわかりやすくいうなら、同じ男性ボーカルでも福山雅治とワンオクロックじゃ全然声質が違いますよね。福山雅治のロック系の曲で音域は…とかワンオクのバラードでオケの編成は…とかこんなの一個一個書いていたら、とても一冊の本にできる内容ではありません。

 

 

あとよく聞くのが「コンプをかけたけど変化や効果がわからないよー」っていうお悩み。

この悩みを解消するには2つポイントがあります。

 

まず1つはモニター環境を整えること。100円とか1000円程度のイヤホンでは細かい音の調整は絶対に出来ません。変化や効果がわからないのではなく、それはそもそも変化していないのです。

 

もう1つはコンプを理解すること。

僕も以前は同じ悩みを抱え、耳鼻科に聴力検査に行ったりしましたが、原因は耳ではありません。効果がわからない原因は、「どうしてそのコンプをかけるのか?そもそもコンプとは何なのか?」ということを正しく理解していないからです。

正しく理解できていなきゃ、いくら耳で聞こえていても脳が判別を出来ていません。だからコンプの効果や役割がわからないんです。そもそも音楽を作る人間なんて毎日大音量で音楽を聞いているんだから聴力は劣化しています。

 

 

 

ってことで、ここでは機材のセッティングとかは省いて、ミックスとは具体的にどんな作業を行うのか、やるとどんな良いことがあるのかを中心に書いていきます。細かいセッティングは書きませんが、どうしてこんなエフェクターを使うのか?どうしてこんな処理をするのか?を理解できれば案外ミックスは簡単に出来るようになります。

 

このページで使用するサンプルでは、モニター環境に左右されないよう極端にエフェクターをかけています。いますが、専用のヘッドホン等があるとより違いがわかりやすいと思いますので、お持ちの方は是非ご利用ください。

サンプルによっては音量の増減が激しい場合があります。ご視聴の際はご注意ください。

 

ミュージシャン募集

ミックスについて

 

一般的に聞き慣れない単語だと思いますが、音楽制作を行う人間にとってはメチャクチャ重要な作業です。これをやるのとやらないのでは天と地ほど…とまではいきませんが、クオリティが大きく変わってきます。

 

ミックスをやらないとどうなるかというと…

 

・一般的な音楽に比べ、音量が小さい

・音に奥行きや立体感が無い

・何か全体的にモコモコしててキモい

・楽曲にもよるけど聞きづらい

 

BGM mix前

 

BGM mix後

 

 

ボーカルが入ってくるともっと露骨!

 

歌もの mix前

 

歌もの mix後

 

 

イメージとしては料理の盛り付けみたいな感じですな。

キレイに盛り付けられているからと言って、味が変わるわけではありません。うまいもんはうまいし、まずいもんはまずいです。

ただキレイに盛り付けられた料理って美味しそうに見えるし、お客さんも喜んでくれますよね。同じ味でもより美味しく食べてもらうためには一手間加える事が非常に重要です。

 

音楽も同じで名曲はミックスしてようがしてまいが、名曲です。

ただその作品をより良いものにするには、長く聞いてもらうためにはもう一手間加えることが重要になってきます。

 

 

ミックスって何をするの?

忙しそうなエンジニア

 

んじゃ具体的にミックスって何をするのかという話ですが、メチャクチャ大雑把にいうと「音量と音の位置(音像)を整える作業」を行います。

「音量を整えるなんて当たり前じゃん」「音の位置?要は右耳とか左耳にすればいいんだろ?」と思われるかもしれませんが、そんな簡単なレベルじゃありませんミックスではこの当たり前の作業をとことんまで突き詰め、機材を駆使しまくって行います。

 

音や楽器に対する知識と経験、機材の使いこなし方、楽曲をより魅力的するセンスが問われる、職人的な資質が必要です。ミックスエンジニアという専門職もあるくらい難しい作業ですが、しっかり勉強し、またセンスのある方ならこれだけで食っていくことができます

 

 

ミックスを行う前に知っておく2つの原則

2

 

ミックスを勉強する前に基礎知識として知っておくべき点が2つあります。この2つの前提を中心にミックスを行っていきます。

 

1 音は大きければ大きいほど迫力がある

 

第一前提としてはこれ。当たり前のことなんですが音は大きければ大きいほど迫力が増します

 

 

例えば誰かに怒られる時に「コラー!」って言われるのとコラー!って言われるのじゃ全然怒られてる感が違いますよね。

ライブとか映画でも同じで、控えめな音量で上映されたら最悪です。全く楽しめねーっていうね。お腹に響くくらいの大音量で上映されるから臨場感を感じられるし、楽しむことができます。

大きい音というものは脳に対する刺激が強く、感情を揺さぶる力があるため、音楽を作る人間は自分の作品をとにかく大きい音で聞いてもらうために、ミックスを通してたくさんの工夫をしています。

 

 

デジタルで制作される音楽の限界音量

 

第二前提はこれ。現代の音楽は基本的にPCを使ったデジタル制作で作られます。

第一前提で音量が大きいほど良いと書いたのですが、ただボリュームのツマミを回すだけではNGです。デジタル音楽には0db(ゼロデシベル)と呼ばれる音量の限界値があり、これを超えてしまうとバチバチっという耳障りなノイズが乗ってしまいます

気持ち良く聞いていたのに急に耳を刺すようなノイズが鳴ったらリスナーとしてはどうでしょう?どんなに名曲でも聞く気にはなれませんよね。

つまり音量を上げたくても、ノイズが乗らないようにする一定の限界があるってことですな。

 

ちなみにアナログ制作される音楽は限界値を超えると、ディストーション(歪み)という形でノイズが入ります。

過去のミュージシャンも大きい音を目指していたら、何かカッコいい音が出来ちゃった!これカッコいいからエフェクターにしようぜ!というところからディストーションやドライブというエフェクターが生まれました。

 

 

ミックスに使うエフェクター(機材)

エフェクター

 

メインで使用するエフェクターは以下の4つです。

 

  • コンプレッサー(コンプ)
  • イコライザー(EQ)
  • リバーブ
  • ディレイ

 

もちろん他にも色々使うんですが、使用頻度が高く重要になってくるのが上記です。

4つだけですが、この4つを使いこなすのがメチャクチャ難しいです(特にコンプは最悪)

 

 

 

音量系

 

まずは音量を調節するエフェクター、コンプレッサーとEQを紹介していきます。

ミックスを行う上で一番重要なのがこの音量の分野です。

まずは一番の強敵!コンプから見ていきましょう。

 

 

 

 

コンプレッサー(圧縮)

 

COMP

 

 

コンプレッサーは「圧縮」を意味し、音量のばらつきを抑えるエフェクターです。小さい音は大きく、大きい音は小さく(圧縮)することで最適な音量バランスを保つことが出来ます。ただこれだけ。

 

 

ただ、これが死ぬほど難しい

 

 

単純な音量の大小なんてのはぶっちゃけどっちでも良いんです。つまみをひねりゃ大きくなるし、小さくもなります。難しいのはコンプで音量調節をした時に一緒に付いてくる効果の調整です。ちょっと一例を書いていきます。

 

 

ドラムサンプル(コンプレッサー無し)

 

波形図はこちら

ドラム波形2

 

特に何のひねりもないドラムサンプルと波形です。途中0dbを超えちゃいました。

ドラム波形1

赤丸のところで限界値(0db)を超えてクリップ(音割れ)しています。

 

 

次にざっくりとコンプをかけたものです。最初のものと比べてみてください。

 

ドラムサンプル(コンプレッサー有り)

いかがでしょう?わずかですが音が大きくなり、迫力が増しているのがわかると思います。

 

波形図
ドラム波形3

 

波形の図にも注目してみてください。コンプレッサー無しの波形は途中0dbを超えているのに対し、コンプレッサー有りの方は0db以下に収まっています。なのに音が大きく聞こえる。これは何故でしょーか?

 

カンの良い方ならもうおわかりだと思いますが、コンプ無しの方に比べコンプ有りの方は音の余韻を大きくすることで、平均的な音量を上げています。コンプ無しの方は瞬間的な音量は大きいのですが、全体的に隙間が多いため小さく聞こえてしまうのです。

 

ドラム波形4

赤丸のところが小さいため全体的に小さく聞こえる

 

ドラム波形5

赤丸のところもしっかり音が鳴っているため大きく聞こえる

 

これがいわゆる音圧が上がっている状態です。

 

 

ちょっと寄り道して、音圧について

 

ミックスについて調べると必ず音圧という言葉が付きまとうのですが、これは非常に変な言葉で、間違った解釈で使われていることが多いです。

音圧の正しい意味はすごく単純。「音量」です。

んでもって世間一般で言われている、「音圧がある!」っていうのは「何だか全体的にでかい音がする」状態のことがほとんどです。つまり「音圧」ではなく正しくは「平均音量」を指しています。

コンプでペシャンコに圧縮された波形を見て「音圧!音圧すごい!!うわぁぁぁーーー!!」というのはちょっと意味が違うのさ

 

 

 

 

話が逸れました。続けましょう!

 

「んじゃさ!音の余韻をもっと大きくすりゃ良いんじゃね?」と思ったあなた!

グッドアイデアです!やってみましょう!

 

 

ドラムサンプル(コンプレッサーかけまくり)

 

波形図

ドラム波形 コンプ深め

どうでしょう?思っていたのと違いますよね?何かものすごく音が遠くに感じられると思います。

これは音の余韻が強調されすぎ & 音の立ち上がり(出だしの音)が埋もれすぎたため、音に距離感が出来てしまったからです。

 

ドラム波形 コンプ深め2

 

1 一瞬だけ音が立ち上がるが、その直後にコンプによって大きく圧縮されています。音の立ち上がりが目立たなくなると、必然的に距離感を感じてしまいます。

 

2 本来小さいはずの、音の余韻がコンプによってブーストされています。こちらも同様に距離感を感じてしまう原因となります。

 

 

イメージとしては大きいコンサートホールを想像してみてください。大きいコンサートホールで遠くにいる人が手を叩くイメージですね。

 

反響2

大きいホールで遠くから手を叩くと、壁に反射した音までしっかりと聞こえます音の余韻が大きいまた二人の間に距離があるため、音が届く時間が大きくなります音の立ち上がりが埋もれる

この距離感と反響を感じることで、音の出どころが遠くにあると感じてしまうのですな。

 

 

逆に一番最初のコンプ無しでは、狭い部屋で目の前にいる人が手を叩くイメージです。

反響

小さい部屋で近くから手を叩いた場合は音の反響も少なく、すぐに音が届くためタイトな印象になります。ただし目の前で叩くからうるせぇ0dbを超えやすい

 

 

ってことで、上記の解説ですが、あくまで音量をちまちまいじっただけです。リバーブとかそういう空間系のエフェクターとかは全く使用していません。

音量をいじるだけでこれだけ音の印象が変わるということを何となくご理解頂けたでしょうか?音量というものは音楽を作る人間にとってものすごく重要な存在です。単純にツマミを回してどうのこうのというわけにはいかないんですな。

 

コンプレッサーについてはとりあえずこの辺で一回切ります。上記はあくまで一例で、他にもコンプの効果は色々とあるんですが、マジでキリが無いので…

次はイコライザー行ってみましょう!イコライザーを知ると自ずとコンプについてもわかってきます!

 

 

 

イコライザー(EQ)

 

EQ

 

イコライザー(以下EQ)は特定の音域をカットしたり、ブーストしたりすることができるエフェクターです。音色を変化させるエフェクターなので、ミックス以外にも音作りに積極的に使用されます。

 

さっきのドラムをEQで音色変化させると…

 

 

こんなふうにEQは音色変化にも使える、使い勝手の良いエフェクターです。が、ミックスにおいてはまた使い方が違ってきます

 

ミックスにおけるEQの使用方法としては、音色を変化させず、いらない部分を削るが原則となります。試しにベースの音をサンプルに確認してみようかね。

 

 

ベース EQ前

 

ベース EQ後

 

いかがでしょう?多少の変化はあるかもしれませんが、ほとんど変わっていませんよね。んじゃこいつを目で見るとどうなっているでしょうか。

 

EQ前のベースの音域図

ベース

 

 

EQ後のベースの音域図

be-su

 

こいつはアナライザーという特殊なエフェクターで鳴っている音を目で見えるようにグラフ化してくれまーす。

縦のメモリがデシベル(db)という音量を表しています。-80から上っていって、ちょっと切れていますが、0のところが限界値ですな。

横がヘルツ(Hz)音の高さです。右にいくほど高音になっていきます。

 

聴感上はあまり変化を感じられないかもしれませんが、実際EQ前とEQ後じゃこんな風になっています。この図をもとにどのようにEQをかけたか、どうしてこのようにEQをかけたか解説します。

 

 

 

be-su2

 超低域の部分を大きく削りました。この辺りの音は音というよりもズンズンした振動に近いノイズのため、モコモコの原因になりがちなのでカット。ただしベース特有の音の太さを削らないポイントを狙っています。

 

2 ベースの担当音域(ベースの魅力を出せる音域)である80Hzなのでここは軽くブーストしています。1で大きく低域を削ったため必然的に目立つようになり、さらにプラスでブーストすることでベースの役割を際立たせています。

 

 ここはベースの弦とピックや指が当たる部分です。2000Hz~4000Hzを削り、4000Hz~8000Hzを軽くブーストしています。前後を削る & 軽くブーストすることで特定の音を自然に目立たせることができます。低い音は音程が取りづらいという特徴がありますが、ココを目立たせることで音程感を感じやすくしています。

 

 

細かくて意味分かんないと思いますが、簡単にいうなら良い感じのとこは目立たせて、どうでもいいとこは削っているってことです。

 

「何となくわかるけど、聞いた感じ変わんないなら意味なくね?」と思ったあなた!確かに仰る通りです。音に変化がないのに、わざわざEQをかける理由。それは最初に紹介したエフェクター、コンプレッサーの存在が大きく関わってきます。

 

 

コンプレッサー(コンプ)とイコライザー(EQ)は同時に使う

 

コンプレッサーの役割を思い出してみましょう。

「小さい音は大きく、大きい音は小さくすることで最適な音量バランスを保つこと」でしたね。

はい!じゃあもう一回復唱してみましょう

 

小さい音は大きく!大きい音は小さくする!

 

 

 

 

つまりコンプレッサーをかけることでいらない音まで音量が大きくなってしまう、だからEQで削る必要があるってことです。

 

EQ前のベースの音域図

ベース

 

コンプもEQもかけていない状態です。いらないところは多少ありますが、80Hz付近と4000Hz~8000Hzが盛り上がっているのがわかると思います。

 

 

EQをかけないでコンプを使った場合

be-su3

 

ちょっと極端ですが、EQを使わないでコンプをかけるとこうなります。かろうじでベースの名残はあるものの、色んな帯域が大きくなりすぎて凹凸がなくなってしまいました。実際には以下の様な音がします。

ベースサンプル EQ無しコンプ有り

 

 

低音が出過ぎているため、強い振動を感じられると思います。また全体域の音が大きくなったため、ベース特有の音の厚みが埋もれてしまいました。いらない帯域の音が出すぎると欲しい帯域の音が埋もれてしまうんですな。

 

世の中の男性は僕を除いてみんな巨乳が好きなんですが、ただでかけりゃ良いかというと大抵 NO! と言います。「でかいのは好きだけどデブはNG」とか「形が重要なんだ!」とかそんなのばっかです。

彼らは単純にでかいのが良いのではなく、でかいところはでかく、細いところは細くが好きなんです。

いくら巨乳だからといって、一緒にお腹も出ていては意味ありません。EQを使ってお腹の肉を削ってあげることで胸が強調され、結果スタイルが良くなるってことです。

 

 

音楽も似たようなもので、楽器にはそれぞれに美味しい音域というものがあります。いらないところを削ってあげる & 美味しいところ少し大きくしてあげることで、より魅力的に聴かせることができます。

 

なんだが何を言いたいのかよくわからなくなってきてしまいましたが、もう一点、EQをかける重要な理由があります。

 

 

EQは他の楽器の音を目立たせるために使う

 

今はベースの音をサンプルに解説を書いていますが、演奏中は他の楽器もたくさんの音を出しています。そんなとき、さっきみたいにベースがバカみたいに音を出しまくっているとどうなってしまうでしょうか?

 

例えば…

バスドラの音域図

バスドラ 音域

 

こいつはバスドラの音域図です。62Hzの大きく盛り上がっているところがバスドラの魅力的な音の部分です。(2000Hz~8000Hzあたりはバチが当たるところ)

 

 

アコギの音域図

アコギ 音域

 

こっちはアコギをアルペジオで演奏したときの音域図です。サンプル↓

 

アルペジオなので中域~高域にかけてまんべんなく音が鳴っています。125Hz~250Hzあたりにアコギ特有の胴の響きがあり、2000Hzあたりから上は繊細な高音の音が鳴っています。

 

 

これらにEQをかけないベースの音が乗ると…

 

EQ無しのベースは邪魔すぎる図

ベースご乱心

 

1 バスドラの音域にベースが大きく干渉しています。バスドラはリズムを刻むのに重要な楽器ですが、ベースに埋もれてしまうとリズム感がなくなってしまいます。

 

2 このあたりはアコギに限らず、ピアノやスネアドラム、またボーカルなどの主要な楽器が集まってくる帯域です。ベースの音も鳴っていますが、これじゃ明らかに出過ぎ。完全にベースのワンマンバンドになっています。

 

3 このあたりはアルペジオの繊細な音やストリングスの高域が集まってくる帯域です。本来ベースは低域を担当する楽器です。この辺はピック音くらいでOKなのですが、EQを使用していないためキラキラした繊細な音を皆殺しにしています。ベースさんご乱心。

 

とまぁこんな感じになっちゃいます。リスナーもバンドメンバーも全員ベースを神と崇めるような環境なら良いかもしれませんが、ちょっとマニアック過ぎますね。

 

 

みんなと仲良くするベース図

ベース反省

 

1 バスドラに配慮して62Hzから音をカットしています。削り過ぎるとベースの音の太さもなくなるため、ベースの音が変化しないポイント & バスドラの音が聞きやすくなるポイントを狙ってカットします。ベースの音だけでなく、バスドラの音も聞きながらやると良い感じになるよ

 

2 この辺もたくさんの音が集まってくるので、音が変化しないポイントを狙ってほんのりとカットしてあげると良い感じになります(画像ではカットしていませんが…)

 

3 高音域の部分です。ベースには本来あまり必要ない帯域なので全体的に軽くカットしています。スラップベースなどピックの音を目立たせたいときは、目立たせたい音の前後を軽くカット(さっき挙げた巨乳理論)して、それでも足りなければピンポイントで軽くブーストしてみると良い感じになりやすい

 

 

以上がEQの解説です。EQは音色が変化するため楽勝に思われがちですが、ミックスにおいては非常に地味な役割を果たします。

 

 

コンプとEQの実際の使い方まとめ

 

つーことで実際ミックスをやるときは、コンプとEQをどんなふうにかけていくか書いていきます。EQとコンプは各トラック(楽器ごと)にかけた後、マスタートラック(全体)にかけていきます。

 

 

ミックスダウンの工程(各楽器ごとに行う処理)

 

1 ファーストコンプ

 

生音を録音した時、またボーカルには必ずかけます(打ち込みとかならやらないでもいいと思う)。

コンプレッサー本来の役割である、音量のばらつきを抑えることが目的です。特にボーカルは声を張り上げたり、ささやくように歌ったりと音量差が激しいので必須です。

 

ボーカルにファーストコンプ無し

高いところと低いところで音量差が大きく、細かい発音も聞こえない

 

ボーカルにファーストコンプ有り

音量差のばらつきを無くしました。下手なのはどうにもならんけどね

 

 

 

2 EQ(ローカット処理)

上記で解説したとおり、楽器の魅力的な音域を目立たせるためにかけていきます。

書きそびれてしまいましたが、音には倍音成分というものがあり、ほとんどの楽器が不要な低音を持っています。低い音はモコモコの原因になるのでバッサリ削りましょう。

(例) アコギの不要な倍音

アコギ 音域 倍音

 

基本的に30Hz以下の音なんてノイズみたいなものなので、この辺は有無をいわさずカットします(ローカット処理)

アコギ以外の楽器にもこの成分は含まれていることが多いので、忘れずに削っておきましょう。

30Hz以下の低音ノイズを体験してみてください↓

 

 

3 コンプ

 

次はコンプをかけていきます。楽器にもよりますが、基本ここではあまり深くかけすぎず、大きい音が軽く圧縮されるくらいでかけておくと無難です。マスタートラックにもコンプが入るためここで深くかけ過ぎると後々地獄を見ます。

 

 

4 EQ

 

コンプで大きくなってしまった不要な帯域を削る目的で使用します。物足りなければ2番目のEQ同様に軽くブーストします。ただし、ここでも必ずローカットはしておきましょう。低音ノイズは親の仇だ!

 

 

ってことで、ここまでが各楽器ごとに行う処理です。ベース、ギター、ボーカル、鍵盤楽器、ストリングス等々…一つの楽器に対し、それぞれこの処理を行っていきます。もちろん楽器によってこれ以外の様々なエフェクターを使うこともありますが、基本はこのスタイルです。

 

なお、音のボリューム感が足りない場合は更にプラスでコンプ → EQをかけます。こちらも同様に軽く圧縮 → 不要な帯域カットが基本です。一気にかけず何度も重ねてかけていくことで、原音を崩さず自然とボリューム感を上げていくことが出来ます。

 

ちなみにドラムはバスドラ、スネア、ハイハット、タム(フロアタム・ハイタム・ロータム)を全てパラアウト(分解)して行います(シンバルを含むヘッドトラック、部屋鳴り専用のルーム処理もできるとさらにGOOD!)

 

 

このような処理を行った後に、今度は出来上がった音楽全体のミックス処理を行います。バランスを取った各楽器をまとめるために行う処理のため、DAWのマスタートラックにエフェクトを挿していきます。

 

 

マスタリングの工程(全体に行う処理)

ここから先はマスタリングと呼ばれる工程に入ります。ミックスダウンで出来上がった音源を、最終的に形にしていく作業です。CDでアルバムを作る時など、曲ごとに音量差が大きかったり、曲間の長さがバラバラだったりしないよう調整をします。

最近はCDも廃れてきたので、ミックスの工程と明確に区別されていない感がありますが、リスナーの耳に届く最終工程です。気を抜かないでいきましょう!

 

1 まずはEQ

 

最初はEQを挿します。基本的にここではカットのみを使用します。下手にブーストを使用するとせっかく出来上がった全体のバランスが崩れるため、不要な音域のみを軽く削りましょう。なお、ここでも30Hz以下は基本的にカットしますが、音が変わってしまう様なら20Hz → 10Hzと音が変わらないポイントを狙ってください。

2 コンプ(マルチバンドコンプ)

 

次に全体をまとめるためのコンプを挿します。ここでも大きい音量だけを軽く圧縮するくらいのコンプをかけます。(深くかけると一番最初に解説したような距離感が出てしまいます)

マルチバンドコンプは音域に対してかけられるコンプレッサーで、低域が目立ってモコモコしている曲なら低域のみ圧縮とか、高域がキンキンしてると思ったら高域を圧縮等、音域に対してかけられるコンプレッサーです。お持ちの方は是非使ってみてください。

 

3 マキシマイザー

 

最後にマキシマイザーを使用します。

マキシマイザーはコンプの派生機で、大きく飛び出た音量を無条件で潰し、音量をCDと同レベルにするために使用します。ここでようやく音量がドカンと上がるってことですな。

マキシマイザーにはゲート(0dbを絶対に超えないようにする機能)が付属しており、これをかけることで音割れを回避します。その後音量を調整して完成です。

 

ちなみに事前のコンプやEQで手を抜くと音が不自然に潰されてしまったり、音が遠くに行ってしまったりと変な仕上がりになっちゃいます。その場合はまた各トラックの処理をやり直します。下げぽよ

 

4 ディザリング

 

忘れるところだった。こいつは特に音が変わるというわけではないんですが、念のため。

こいつは出来上がった作品のビット数を変更する時にノイズが入らないようにする、まぁお守りみたいなもんです。24ビットで作った作品をCD(16ビット)にしたい時などに使用します。(マキシマイザーに付属されている場合もあります)

 

 

 

 

マスタートラックに行うマスタリング処理は以上です。もちろん楽曲や使用するマキシマイザーによって多少異なりますが基本はこの流れ。ここまで理解しているとコンプの設定やらEQの設定がわかってくると思うよ。

 

ってことでコンプとEQはここまでです。長すぎてもう二度と書きたくない。

次はリバーブとディレイ、いわゆる空間系というやつです

 

 

 

空間系

 

こっちはコンプとEQとはまた別の分野になります。

メインで使用するのはリバーブとディレイという空間をシュミレートするエフェクターです。

こいつらもかけると音が露骨に変わるので、音作りの際によく使われますね。

 

パーカッション 空間なし

 

パーカッション 空間あり

 

ミックスでは上のサンプルのような極端な使い方はせず、それぞれの楽器を馴染ませたり、空気感を出すために使用します。とは言ってもそんなに難しいものじゃなくて、聞いてすぐにわかるし、ある程度は感覚でOKなので気張らずにいきましょう!

 

 

 

 

リバーブ

 

リバーブ

 

リバーブは「残響」を意味し、音の響きをシュミレーションできるエフェクターです。

僕らが普段聞いている音には必ず反射した音というものが含まれており、この反射音が聞こえることでどんなシチュエーションで音を聞いているのか、音が鳴っているのか判断することができます。(トンネルで音を出した時に聞こえる、あの感じです。)

 

それに対し、デジタル制作される音楽、特に打ち込みで作る場合はこの残響が基本的に含まれていないため、エフェクターを使用し人工的に付加させてあげる必要があります。

つまり防音処理していない場所で生音で録音したときは、リバーブは必要ないってことです。

 

極端な例えですが、体育館にバンドメンバー全員が集まって、それぞれの楽器をレコーディングした場合はリバーブを使用する必要はありません。録音した音に体育館の残響が含まれているのでOK!リスナーも「体育館だ!」と何となく判断できるわけです。(何だこの例え…)

 

何だか馬鹿みたいな話しになってきたのでとりあえずサンプルを聞いてください。

 

ドラム リバーブ無し

バスドラをメインにしたドラムです。こいつにリバーブをかけてみると…

 

ドラム リバーブ有り(小さいホールをイメージしたリバーブを使っています)

 

 

多分上のサンプルだとわからないかもしれませんので、もうちょいわかりやすいサンプルを用意しました。

 

音声サンプル リバーブなし

「ナレーション サンプル」で検索したら出てきた音声です。なんだか笑っちゃいますがこれにリバーブを足してみます。

 

音声サンプル リバーブ有り 海外スタジオ

スタジオをイメージした残響感を足してみました。イスタンブールは世界で唯一アジアとヨーロッパをまたがるんだって!へー

 

音声サンプル リバーブ有り 東京のスタジオ

プリセットに東京のスタジオがあったので使ってみました。残響と原音が近いとディレイのようなデジタルチックな音がします。東京のスタジオ = 狭い がCubaseのイメージのようです。ちくしょう

 

音声サンプル リバーブ有り トンネル

ちょっと極端にかけてみました。シチュエーションはトンネルの中。ボスポラス海峡万歳

 

リバーブが生まれる前は、広い部屋の残響感が欲しい!とか、トンネルで録音したような感じにしたい!と思ったときはバンドメンバー全員 + 録音エンジニアがそこに集まってわざわざ録音していました。大変すぎ…

 

ただ近年のリバーブは本当に良く出来ており、下手に生音で残響感を録るよりも、ずっとリアルな残響を付加してくれます。逆に中途半端な残響感が入ると後々の処理がめんどくさくなるため残響の少ない部屋で録音する → エフェクターで残響感をプラスする流れが現在の主流です。

 

スタジオによくこういうのが貼ってありますよね。こいつは音の反射を軽減する効果があり、残響感を消すために貼られています。

 

↑あとこういうの

これも同様に音の反響を防ぐために使用されています。吸音スポンジがマイクを覆うため、音の反射を防いでくれます。レコーディングする人間はこうやってとにかく残響感が入らないように工夫しているんですな。

 

つーことでリバーブの解説は以上です。

え、少なくね?って思うかもしれませんがだって実際こんなもんなだもん

 

空間系のところはディレイのところでも書いているんでそちらと合わせて読んでくれよー。

 

 

ディレイ

 

Delay

 

 

ディレイは「遅れ」を意味するエフェクターです。いわゆる「やまびこ」ってやつですね。反射した音を再現するのに使用します。

 

あー  あー  あー  あー  あー  あー… 的なの

 

まぁ聞きゃわかるさ↓

音声サンプルディレイ無し

 

音声サンプルディレイ有り

 

これホント笑う。

 

 

ディレイはリバーブに比べ、音がぼやけず遅れるという特性があるため音作りにも頻繁に使われます。例えば

 

ディレイ無し

左一本。右一本で配置したギター。もうちょい音に広がりが欲しいのでディレイをかけてみる

 

ディレイ有り

ディレイを使ってちょっと広げてみました。音数が増えたので厚みもアップ

 

 

ちょっと分かりづらいかもしれないので露骨にかけてみる

右におもっいきり振ったギター ディレイ無し

 

右におもっいきり振ったギター ディレイ有り

右側からの音を左に反射させてます。反射音なので若干の遅れが出てきます。

 

一本のギターを左右に広げて音の壁を作るテクニックはシューゲイザーやUKロックでよく使われます。例えばこの曲↓

左右にギターが一人ずつですが、お互いにディレイを飛ばし合うことで音の壁を作っています。何だか複雑なギターサウンドがすると思いますが、ドラム・ベース・ギター×2・ボーカルのシンプルな編成です。

 

 

ライブだとわかりやすいね。イギリス国旗ギターの兄ちゃんがフレーズを弾いて、ハゲがコード弾きをしております。リアムはやっぱ最高

 

 

すみません、長くなってきた。とりあえずディレイの効果というものを何となくおわかり頂けたでしょうか?

ミックスではこのディレイを音作りとしては使用せず、それぞれの音を馴染ませるために使います

リバーブは音楽を演奏している場所の空気感を、ディレイはそれぞれの楽器を馴染ませるために使用することが目的です。

 

ボーカル ディレイなし

 

ボーカル ディレイあり

 

ディレイを使ったほうがピアノと馴染んでいるのがわかると思います。クソだったボーカルがなんかそれっぽくなりますね。

 

更にリバーブを足してみましょう。

 

若干の変化ですが最初の何もなしに比べて全体的に聞きやすくなったと思います。音声サンプルでは効果をわかりやすくするためにどれも深めにかけてますが、実際に音楽を作る時はほんのりかける程度で十分です。

 

こんなふうにリバーブとディレイは音の空気感を出すために使います。コンプやEQに比べると聞いてすぐにわかるため、わりと簡単だと思います。

 

 

 

うーん、ぶっちゃけリバーブとディレイに関しては特に書くことが無い…セッティングとか書いてもキリがないし。一応インサートとセンドについては書いておきますかね。

 

 

インサートとセンド

 

エフェクターのかけ方は大きくわけて2つの方法があり、それがこのインサートとセンドです。ミックスの本に必ず書いてある項目なので、そっちを読んでも良いと思うよ。

 

インサート

インサートは音や楽器に対し、直接エフェクターをかける方法で、原音そのものを変化させる際に使うやり方です。いわゆる音作りのときにやってる、よくあるエフェクターの使い方です。編曲の段階でもガンガンやるので、ミックスをやったこと無い方でも何となくわかりますよね。コンプとEQはこちらの方法で使用します。

 

インサートイメージ

センド

センドはインサートと違い、原音や出来上がった音そのものは変化させず、プラスでエフェクターの効果を付加させます

センドイメージ

ちょっとイメージしづらいかもしれませんね。インサートではエフェクターを通して出来上がった音はそのまま再生されます。これにプラスで更にエフェクターを通した音をプラスするのがセンド方式です。必然的に音量が多少大きくなります。

このセンドを使ったエフェクターのかけ方は基本的にミックスで、空間系のエフェクターのみ使用されます。

 

 

センドは空間系で使用する

リバーブで部屋の残響音を、ディレイでは反響音をシュミレートする、という点を解説しましたね。

では残響や反響とは具体的に何なのでしょうか?

 

原音と残響音

 

オレンジの矢印が残響音と反響音です。原音が鳴ることで音が反射したり、部屋の中で響くものでしたね。つまり原音はそのまま存在して聞こえ、更にプラスで残響音や反射音が聞こえる、これが正しい音の聞こえ方です。

ここまで書けば何となくわかると思いますが、リバーブとディレイは空間系を再現するエフェクターです。リアル感を再現するためには上記の画像の通り、原音が反射した音を再現する必要があります。だからインサートではなくセンドを使います。

また、ミックスをやるときにリバーブやディレイを原音に直接かけてしまうと、元々の音に残響や反射の変化が出てしまい、わけがわかんなくなってしまいます。そのためセンドを利用するんですな。

 

 

最後に

 

ってことで、ここらでミックスの解説は終わりです。

 

最初にミックスの本は役に立たねぇ!みたいな書き方をしましたが、あれはウソでござる。

正しくはミックスやエフェクターの基礎知識が無い人には、役に立たねぇ!です。基礎知識を持った上で読むとみんな色々工夫しているんだなぁっていうのがわかると思います。

 

料理を全くやったことがない人に、いきなりフランス料理のレシピ本を読ませるのと一緒です。塩やら砂糖やらの基本調味料を理解しないで、いきなりフォン・ド・ヴォーや小悪魔風ステーキとか無理なんです。

ただし基礎を理解していればあとは応用です。たくさんの本やサイトを読んで、経験を積めば自分のものに出来ます。

難しい内容だったかもしれませんが、ミックスの根本的なところは「いかに臨場感を持って聴かせるか、いかにかっこ良く聴かせるか」です。担当する部分は違っても作詞・作曲・編曲と同様に根っこの部分はやっぱり同じなんです。作曲家や編曲担当の人も一曲やってみるとまた違った視点で音楽が見えてくると思いますよー

 

 

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