テンションコード(セブンス・ナインス・シックス) はなぜ難しいのか?
2016/02/23

※このページでは「とりあえず一曲作る」をコンセプトに音楽理論を解説しています。細かいところは省いているので詳しく知りたい方は別記事を御覧ください。
テンション(緊張)
今回説明させて頂くのは「テンション」という理論です!日本語で言うと「緊張」!
音楽制作をするうえで絶対に欠かせないのに音楽理論を勉強する際は中級レベルに属するという謎な部分です。スクールとかでもこの理論に関してはなぜか全然説明されません。
実際に検索してみても解説はあるんですがとにかくわかりづらい!理屈は理解できてもどう使うのかが全然わからん感満載です。ってことで実際テンションって何なのか自分でも解説していきたいと思います。
「テンション」とは何ぞやというと前回解説したコードに4個目・5個目の音を足して響きを複雑かつオシャレにできちゃうものなのです。
早速テンションコードを弾いてみよう!面倒な人は動画!
早速!鍵盤がある方はCのコードに(ド・ミ・ソ)Bの音(シ)を弾いてみてください。
ド・ミ・ソ・シですな。
いかがでしょうか?普通のCに比べ響きがなんとも言えないオシャレで複雑な響きになったと思いませんか?
これは音楽理論でいうとCM7(シーメジャーセブンス)というコードになります。
では!次にC(ド・ミ・ソ)にDの音(レ)のを足してみてください。
なんだか馬鹿っぽい響きのコードが途端に爽やかな響きに!
こいつはCadd9(シーアドナインス)というコードになります。
はい!次にC(ド・ミ・ソ)にA(ラ)の音を足してみてください。
やっぱり明るい響きがちょっとアンニュイな感じになったと思います!
こいつはC6(シーシックス)というコードになります。
こんな風にテンションはコードを構成する3つの音にプラスで音を足して複雑な響きを得ることができます。とても素敵です。
ではこんな最高なテクニックですが何故スクールや理論書で説明がされないのでしょーか?
簡単に言ってしまうと「アレンジによってOK!やNG!の基準が違うため正解が無い」という点です。
詳しくは2番目の動画で解説していますが、使う楽器や音楽のジャンルによって正解が変わるため一概にこうだ!と言い切ってしまうことができないのです。音楽理論はこうゆうのが多いので嫌ですほんと。
しかし制作をする上ではここは絶対外せませんし、理解できれば一気に音楽が楽しくなるので勉強してしまいましょう!
Cメジャスケールのコードで使えるテンション一覧
ということで、まずCメジャスケールのコードでそれぞれ使えるテンション書いていきます。
「C」
ド・ミ・ソ+シ(C・E・G・B) = CM7
ド・ミ・ソ+レ(C・E・G・D) = Cadd9
ド・ミ・ソ+ラ(C・E・G・A) = C6(C13)
「Dm」
レ・ファ・ラ+ド(D・F・A・C) = Dm7
レ・ファ・ラ+ソ(D・F・A・G) = Dm11
「Em」
ミ・ソ・シ+レ(E・G・B・D) = Em7
ミ・ソ・シ+ラ(E・G・B・A) = Em11
「F」
ファ・ラ・ド+ミ(F・A・C・E) = FM7
ファ・ラ・ド+ソ(F・A・C・G) = Fadd9
ファ・ラ・ド+レ(F・A・C・D) = F6
「G」
ソ・シ・レ+ミ(G・B・D・E) = G7
ソ・シ・レ+ラ(G・B・D・A) = Gadd9
ソ・シ・レ+ミ(G・B・D・E) = G6
「Am」
ラ・ド・ミ+ソ(A・C・E・G) = Am7
ラ・ド・ミ+レ(A・C・E・D) = Am11
以上が音楽理論的に使えるテンションの一覧になります。
省略しちゃいましたがテンションを2個とか3個同時に使用するのも有りです。
例えばCに「シ」と「レ」を足すとCM7(9)となります。
呼び方や表記に関しては色々あって書ききれないし面倒なんで飛ばしますすみません。
理解しておくことに越したことは無いのですが、多分それだけでものすごく長くなってしまうし何よりつまらないので…そんなことより使いこなす方が大事。
ぶっちゃけ他にも使える音はあるっちゃあるんですが、ジャズを作りたいとかじゃない限りこんなもんで充分でしょう。全部覚えてもほぼ使う機会なんかありません。ジャズを作りたい人はアレです頑張ってください。
テンションが解説されない理由
「じゃあこいつら覚えれば終わりじゃん!」と言いたいのですがそう簡単にいきません。
先ほど理論書でほとんど書かれていないと言いましたが、何故テンションが説明がされないのかということをもう少し詳しく書いていきたいと思います。
まず第一に!
「やりすぎるとカデンツが死ぬ!」
テンションコードを鳴らした時皆さんはどういった印象を持たれましたか?
おそらく最初のコードに比べ極端な明るさや暗さが消え、複雑でオシャレな印象を持たれたのではないでしょうか?このオシャレ感こそがテンションの醍醐味なのですが、逆に言ってしまうと前回お話ししたカデンツの安定や不安定の要素が薄れてしまうという要素も含んでいます。
前回のカデンツの記事で例に出した「C→G→C」というコード進行を
「CM7→G6→CM7」等適当にテンションを加えて弾いてみてください。
途端に最初の印象が変わりクッキリした流れがフワリとした印象を持たれると思います。
このフワリとした曖昧で複雑な響きがテンションの醍醐味なのですが、曲全編を通してテンションがふんだんに散りばめれているとなると話は別です。
カデンツの動きが消されて延々と曖昧な曲になってしまう恐れが出てきてしまいます。動画では足せるテンションをとりあえず全部足してみましたが、なんだかしつこいしクドい感じが聴き取れると思います。
勿論狙ってやるならOKです!エリック・サティの「ジムノペディ」なんかは延々とテンションコードを使用することで独特な雰囲気が表現されています。逆にサティがテンションを使わず単純なメジャーとマイナーだけでジムノペディを作ったら絶対に現代に語り継がれることは無かったでしょう。
複雑さやアンニュイな感じを出したいからテンションを使用するというのが正しい使い方であり、何となくオシャレだからとりあえずテンション突っ込んどけばいいだろみたいな感覚で使うと最終的に何だかよくわからんものになってしまう事があります。
そして第二に!
「使えない音(アヴォイドノート)の基準が曖昧」
さっき紹介したコードごとに使えるテンションの音を見てみてください。
Cのコードだと足せるテンションは「シ」「レ」「ラ」でしたね。
では何故「ファ」の音は使うことができないのでしょうか?
詳しくは動画で説明させて頂きますが、理由は単純明快で「音が濁る!」の一言に尽きます。
かといって「じゃあ使わなきゃいいんだろ?」と切り捨ててしまえば良いというわけではありません。使いづらい音であることは確かですがアレンジの仕方によっては逆にかっこ良く使用することも可能であり、聴いてみなけりゃわからん面倒なやつなんです。
理論を勉強しているのに急に判断基準が感覚になるという理論書泣かせのテンション…
そして第三に!
「楽器やアレンジによって使えるテンションが異なってくる」
最初の動画では澄んだピアノの音を使ってテンションの確認をしましたが、これが例えば歪んだギターだった場合どうでしょう?何の音を弾いてるのかわからなくグチャグチャになります。
じゃあピアノなら何でもオッケーかというとそんなこともありません。動画ではピアノと簡単なストリングスとギターくらいしか使っていませんでしたが、実際の音楽はもっとたくさんの楽器を使っているので全部が合わさると澄んだピアノの音でも濁ってくる場合があります。
ベーシストが空気を読まずに延々とテンションを弾いたりした日にゃあもう終わりだし、かと言って空気の読めるバイオリニスト延々と3和音を弾き続けたら最低過ぎます。
そして叱責を受けたベーシストが不貞腐れて延々とルートだけ弾き続けるとそれもやっぱりクソになります。
第二の理由と同様、アレンジによって判断基準が大きく異なってきます。
とりあえずテンションコードが難しい、解説が少ない理由はこんなところでしょう。
他にも音楽のジャンルとかによって使うテンションが異なるとか細々あるんですが、とりあえずこのブログではロック・ポップスに焦点を当てて説明するので省略しちゃいます。
ではこのテンションをどう使うかということなんですが、長くなってきちゃったので次回以降また解説したいと思います。
まとめ
・テンションはオシャレ
・テンションはアレンジによって使えるか使えないかが決まる